敵から城を守るための防御の基本となるのが掘(ほり)です。
その堀にはいろいろなカタチがあります。
種類としては水堀や空堀、形としては箱堀、毛抜堀、薬研堀、片薬研堀などです。
深掘りしていきます。
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様々な堀のカタチ
- 堀は城を敵から守る防御の基本
- 水を張った水堀、水のない空堀の2種類がある
- 形によって箱堀、毛抜堀、薬研堀、片薬研堀などがある
城を敵から守る防御の基本中の基本といってもいいのが掘(ほり)です。
城の周りに堀を造って敵の侵入を防ぎました。
地面を掘って凹凸(おうとつ)を作るというのがポイントです。
堀は水を張った水堀(みずぼり)、水のない空堀(からぼり)の二種類があります。
また形によって箱堀(はこぼり)、毛抜堀(けぬきぼり)、薬研堀(やげんぼり)、片薬研堀(かたやげんぼり)などがあります。
また掘の場所によって内堀(うちぼり)、中堀(ながぼり)、外堀(そとぼり)などとも呼ばれています。
山城と平城では堀の大きさや形なども違います。
以下に深掘りしてみていきましょう。
堀とは城の防御の基本
- 城の周りを掘って敵の侵入を防ぐ構造
- 堀に侵入してきた敵は、上から弓矢や石、鉄砲などで撃退する
- 侵入を妨げたい場所にも堀は有効
城を敵から守るための防御には、いくつも種類ややり方があります。
その中で最も基本となるのが掘です。
城の周りを掘って敵の侵入を防ぐ構造です。
堀に侵入してきた敵に対しては、上から弓矢や石を落とすなどして撃退しました。
鉄砲がある場合は、鉄砲も使って撃退します。
基本的には城の周りに堀を造るのが定石です。
その他には、侵入を妨げたい場所に堀を造ります。
堀は水堀と空堀の2種類
- 堀には水堀と空堀の2種類ある
- 水を溜めたのが水堀
- 水がないのが空堀
堀の種類でいうと、水堀と空堀の二つがあります。
- 水堀(みずぼり)
- 空堀(からぼり)
水堀は水を溜めた堀です。
どこからか水を引いてくる場合もあれば、自然に溜まる場合もあるでしょう。
詳しくはコチラでも↓↓↓
もう一つは水がない空堀です。
山城ではほとんどが空堀でした。
山の上では水を蓄えておくのが難しいからです。
詳しくはコチラでも↓↓↓
水堀は城館や平山城、平城などによく作られました。
しかし平城でも空堀にしているところもありました。
堀の断面の形
- 堀底の形(断面)の違いによってタイプがある
- 箱堀、毛抜堀、薬研堀、片薬研堀など
- それぞれの特徴やできた経緯などがある
堀の断面の違いによっても様々なタイプがあります。
代表的なものとしては箱堀(はこぼり)、毛抜堀(けぬきぼり)、薬研堀(やげんぼり)、片薬研堀(かたやげんぼり)などです。
- 箱堀(はこぼり)
- 毛抜堀(けぬきぼり)
- 薬研堀(やげんぼり)
- 片薬研堀(かたやげんぼり)
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箱堀(はこぼり)
底が平らな堀で両側の壁が急斜面になります。
断面が箱型をしているので箱堀と呼ばれます。
底が平らな状態だと敵が移動できてしまうため、畝(うね)を設けたり杭を打ったり水を貯めたりして侵入を妨げました。
毛抜堀(けぬきぼり)
底が丸い形をしている堀です。
底が丸みを帯びているため、敵が移動する時に動きが取りにくいのが特徴です。
両側の壁は急斜面になります。
SASUKE でおなじみの「そり立つ壁」のようなものでしょうか。
薬研堀(やげんぼり)
底が V 字になっている堀です。
漢方薬を調合する道具の薬研(やげん)の溝に似ているため、薬研堀と呼ばれるようになりました。
底が V 字のため敵が堀底に侵入しても、一番深い所に敵が溜まるため反撃しやすかったのが特徴です。
また敵も移動が大変困難でした。
片薬研堀(かたやげんぼり)
底が V 字になっており、城の内側の壁は急斜面、外側の壁は緩やかな角度になっているものです。
堀の場所による呼び名
- 堀の場所で呼び名が異なる
- 内堀、中堀、外堀、惣堀など
近世城郭では城に堀をいくつも造って囲っていました。
何重にも囲っていたのです。
城の主要部分を囲っている堀を内堀(うちぼり)、その外側の堀を中掘(なかぼり)、さらに外側の堀を外堀(そとぼり)と呼びました。
- 内堀(うちぼり)
- 中堀(なかぼり)
- 外堀(そとぼり)
二重の堀の場合は、内堀と外堀と呼びます。
また城下も含めて惣構え(そうがまえ)の構造になって堀で囲っている場合は、惣堀(そうぼり)とも言われます。
堀の幅
- 堀の幅は、中世の城と近世城郭で異なる
- 鉄砲伝来によって堀幅が広くなった
- 弓矢のころは10m、鉄砲に対応したら30m以上
堀の幅は、中世の城と近世城郭では異なりました。
それは室町時代に鉄砲が伝来したことによります。
従来は弓矢の飛行距離に合わせて堀が作られましたが、鉄砲の方が射程が長くなるため、堀の幅もそれに伴って広くなったのです。
弓矢の場合は10 m の堀幅でも十分だったのが、鉄砲に対応するためには30 m 以上も必要になりました。
そのため、近世城郭では堀幅が50 m から100 m ある堀も見られます。
まとめ
- 堀は城を敵から守る防御の基本
- 水を張った水堀、水のない空堀の2種類がある
- 形によって箱堀、毛抜堀、薬研堀、片薬研堀などがある
堀は城の防御の基本中の基本です。
城の周りを掘って敵の侵入を防ぐ構造となっています。
その形は様々なタイプに分けられます。
城の周りに堀があるということは、逆に、堀をたどっていけば城の形や場所がわかるということ。
城の範囲などを探して歩く場合は、どこに堀があったのかを探せばおおよそ見当がつきますよ!
お城めぐりの際の参考にしてください。
ということで、様々な堀のカタチというお話でした。
じゃあね🖐️
2020年01月26日
犬山城マイスター!たかまる。
たかまる。
「お城のすべて」は城郭検定の公式参考書にもなっていますよ。
「日本の城事典」はまさしく事典です。わからなくなったらこれで調べるという一冊。