かつて近世城郭に多く作られた御殿には、表御殿と奥御殿があります。
表御殿は藩主が政治を行う場所、奥御殿は藩主の休息する場所となっていました。
そのうちの表御殿について、今回は見てみたいと思います。
表御殿の構成
表御殿は玄関、広間、書院の三棟からできているのが基本です。
表御殿は正式な対面の場所でもあるため、障壁画や彫刻で飾られ最も豪華な造りとなっています。
その中でも玄関よりも広間、広間よりも書院の方が格が高く作られていきました。
三つの棟
表御殿基本の三棟を順番に見てみましょう。
玄関
玄関は古い呼び方では遠侍(とおざむらい)と言います。
正面には式台(しきだい)という低い板敷きが突き出しています。
侍が正式に登城する時には、式台から広間に上がって行きました。
広間
広間は表御殿の中でも特に贅沢な作りになっています。
一番奥が一段高い上段の間(じょうだんのま)という作りで、城主が着座するので着座の間(ちゃくざのま)とも呼ばれています。
上段の間には座敷飾りがあります。
いわゆる床の間と、その脇の棚、縁側に面した出窓の付書院(つけしょいん)、敷居を一段高くして襖を立てた帳台構(ちょうだいがまえ)からなっています。
その豪華さは城主の威厳を高めるためのものです。
また多くの場合、上段の間とそれに続く次の間の境には細かい縦格子(たてごうし)を入れた欄間(らんま)があります。
この欄間は城主と家臣との身分差を表す「結界」のような役割をしていました。
書院
書院は広間の奥に位置しています。
広間を小型にしたような造りで、上段の間や座敷飾りも供えられていました。
広間と書院が同じような作りで2棟あるのは、家臣の身分の違いに応じて対面の場所を変えるためです。
書院の方が広間よりも格式が高く作られていました。
御殿の天井
御殿の天井もその身分差を意識して作られています。
天井板を水平に張った普通の天井と、丸く中央をせり上げた折上天井(おりあげてんじょう)の2種類があります。
折上天井の方が格式の高い作りです。
さらに天井板を支える縁の通し方にも身分差をつけていました。
縁を平行に並べただけの竿縁天井(さおぶちてんじょう)、縁の断面を縦長の六角形にした猿頬天井(さるほほてんじょう)、正方形の格子に組んだ格天井(ごうてんじょう)、格天井をさらに細かい格子で区切った小組格天井(こぐみごうてんじょう)の4種類があります。
竿縁天井、猿頬天井、格天井、小組格天井の順で格が上がっていきます。
まとめ
御殿の中でも政庁として使われた表御殿には、玄関、広間、書院の三棟がありました。
それぞれの部屋などは格式を意識して、序列を造っていました。
ということで、表御殿はどのような造りをしていたのかというお話でした。
じゃあね🖐️
2019年08月01日
犬山城マイスター!たかまる。