国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡の保存活用計画を犬山市が中心となって策定しています。
その第2回の委員会が2019年11月19日(火)に行われました。
傍聴してきたので、レポートしたいと思います。
第2回犬山城保存活用計画策定委員会
- 国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡の保存活用計画を策定中
- 今回は第2回の委員会が開催された
- とても濃密で前向きなディスカッションになった
国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡の両方を包含する形で、保存活用計画が策定中です。
これは犬山市が中心となって保存活用計画策定委員会を作り、専門の先生の意見を交えながら保存活用計画を作っていくというものです。
2019年11月12日(火)に第2回の委員会が開催されました。
委員会は公開となっているため傍聴できます。
なかなか聞くことができない話なども出てくるため傍聴してきました。
筆者が特に感じたことは四つです。
- 天守の維持管理方法をどうするのか
- 天守の防災計画・体制についてどうするのか
- 犬山城としての品格をどう捉えるのか
- この保存活用をどの年代を基準とするのか
です。
筆者が感じたこの四つのことをレポートしていきたいと思います。
天守の維持管理について
- 国宝犬山城天守は、国の重要な文化財
- 勝手に改変することはできない
- 日常的なメンテナンスと文化財としての修繕が必要な場合とを整理して考える
国宝犬山城天守はもちろん国の重要な文化財です。
そのため勝手に改変などをすることは基本的にはできません。
これは文化庁の指導を仰ぎながら行う必要があります。
しかし日常的なメンテナンスまで文化庁の指示を仰ぐ必要があるのかという問題に直面します。
そこで犬山城の場合、(他の文化財でも行われているであろう)日常的なメンテナンスつまり維持管理と文化財としての修繕が必要な場合とを明確にする必要がある。ということが委員会の中で議論されました。
修理をしなければいけない理由や内容と方法、それを行う時期というものが判断の基準になるように感じました。
具体例がなかなか挙げられませんが、そこは犬山市が文化庁と協議をしながら判断していくことになるでしょう。
このような内容も保存活用計画の中に方針として盛り込まれていきます。
防災について
- 文化財の防災対策が急務
- 防災と、万が一起きたときの減災の両方を考える必要がある
- 天守だけでなく、周辺の樹木や警備体制なども課題
2019年には首里城の正殿などが火災で焼失してしまうという事件がありました。
建物は文化財には指定されていませんでしたが、日本中にある文化財などの防災対策というものについて考えさせられました。
犬山城ももちろん、火災などが起きないように万全の体制を整えなければいけませんが、もし万が一火災などが起こった場合にどのように被害を食い止めていくのかについても総合的に方針を決めなければいけません。
天守だけではなく周りの樹木の管理もこの防災管理の一つとして考える必要があるでしょう。
また夜間の警備や消防との連携体制など、昼間の来訪者が多い時間帯の体制も含めてリスクとそれに対してどんな対策が必要になってくるのかを示すことが重要と考えられます。
このような内容についてもたくさんの意見が出され、今後の活用計画に反映されていくものと思われます。
犬山城の品格について
- 保存活用の基本となる考え方はどこにあるのか?
- 犬山城天守は国宝であり、城跡は国の史跡である
- その「品格」を重んじなければいけない
保存活用計画を策定するとなると「文書」として計画を作るということになるのですが、その前提となる考え方をどこに持っていくのかということが非常に重要になってきます。
例えば、国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡というのは、「誰のため」の「何のため」の文化財・史跡なのか?ということです。
それについての基本的な考えを委員会だけでなく、関係する人・団体や市民と共有することが非常に大切だと思います。
例えば、犬山城は観光客のための娯楽施設ではありません。
日本が誇るべき、歴史や文化などが詰まった文化財なのです。
それを委員の方は「犬山城の品格」という言葉で表現されていました。
国宝としての品格、国史跡としての品格をどこに求めるのか?
それについて改めて考えなければいけないでしょう。
その考えに基づいて、どのような整備保存復元を行っていくのか。
これが軸になってくると思います。
そのため、表現も✖観光客→〇来訪者、✖にぎわいの場→〇学びの場という考えと表現にすべきだとの意見が出されていました。
今回の保存活用計画策定委員会を傍聴して、筆者が心に響いた一番の言葉がこの「品格」という言葉でした。
筆者なりに「犬山城の品格」について、今後も引き続き考えていきたいと思いました。
保存活用の軸にすべき年代
- 保存活用について、どの年代を軸に考える?
- 廃城の前後で分けて考える必要がある
- そこを軸に、どう保存活用するのかを議論すべき
今後の保存活用について、どの年代を軸に考える必要があるのかについても議論がありました。
つまり現在、目にすることができる国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡は、廃城以降の時代の流れもあって変遷してきた姿です。
しかし保存活用計画を策定する方針の一つとして、廃城以前の姿を基準にしなければいけないということが重要なポイントになってきそうです。
つまり、廃城以前の犬山城の姿や機能・役割などと現在とがどのように異なっているのか?
そして今後、どのような形や姿に整備していくのか?
その基準となるのは犬山城が廃城となったときと考えられます。
時間軸としてはそこを境に、その前と後とで分けて考える必要があると思われます。
このことは委員長である麓先生からズバリと発言があり、たしかに!とうなずいてしまいました。
まとめ
- 国宝犬山城天守と国史跡犬山城跡の保存活用計画を策定中
- 今回は第2回の委員会が開催された
- とても濃密で前向きなディスカッションになった
今回のレポートは非常に抽象的な内容になってしまいました。
しかし今、この軸になる考え方や方針について保存活用計画策定委員会ではディスカッションを重ねているところです。
具体的な整備や保存復元などの方法については、別で細かく計画が立てられると思いますが、その前提となる方針についてのディスカッションをしているところなので、どうしても抽象的な表現になってしまいます。
しかし逆に言えば、この今のディスカッションが非常に重要になってくるわけです。
第2回の策定委員会の内容というのは、とても濃密で前向きなディスカッションになったという風に傍聴していて感じました。
今後の保存活用計画の策定にとても期待をしたいと思います。
犬山市から委員会の議事録が公表されていますので、あわせてご覧ください。
ということで、第2回犬山城保存活用計画策定委員会のレポートでした。
じゃあね🖐️
2020年02月07日
犬山城マイスター!たかまる。