犬山城の門や櫓は、明治の時代には不要のものとなり払い下げられました。
明治時代に城が不要となったのは、犬山城だけではなく全国の城がそうなったのです。
犬山城の門や櫓がどこにいくらで払い下げられたのかの記録が一部残っているので、それをまとめてみました。
犬山城の門や櫓は明治になって払い下げられました。
- 明治になって、城は不要となった
- 門や櫓が払い下げられた
- 犬山城の門や櫓が払い下げられた記録が一部残っている
犬山城の門や櫓は、明治の時代には不要のものとなり払い下げられました。
明治時代に城が不要となったのは、犬山城だけではなく全国の城がそうなったのです。
犬山城の門や櫓がどこにいくらで払い下げられたのかの記録が一部残っているので、それをまとめてみました。
門や櫓の払い下げの資料
- 犬山城総合調査報告書を参考にまとめた
- いくらで誰が買い取ったのかがわかるものが残されていた
犬山城の門や櫓の払い下げについて、いくつかの記録が残されています。
犬山城総合調査報告書(2017年3月、犬山市教育委員会発行)より、以下に抜粋します。
村木家文書「犬山城地事件書類」所収「城郭内建物払代金記」
購入した人 | 購入物 | 金額 | 大きさなど |
---|---|---|---|
高橋 十郎 | 千貫櫓 | 12円50銭 | 二間半、三間 |
水ノ手櫓 | 16円50銭 | 二間、三間三尺 | |
桐の丸南高塀 | 9円35銭 | 十四間半 | |
修繕小屋道具入 土蔵 | 51円50銭 | ||
堀尾 宗六 | 弓矢櫓 | 25円 | 三間、四間 |
弓矢櫓 | 15円10銭 | 一丈、五間 | |
杉の丸櫓 | 20円55銭 | 三間半、三間 | |
黒門 | 13円10銭 | ||
木挽小屋 | 17円10銭 | 二間半、五間 | |
米蔵庇付 | 40円10銭 | 二間半、十一間 | |
四斗蔵 | 13円50銭 | 二間、三間 | |
五斗蔵 | 28円 | 二間、八間 | |
雨宮 龍雄 | 杉の丸西櫓 | 25円12銭5厘 | 三間、三間 |
稗(ひえ)蔵 | 28円 | ||
丹羽 杢兵衛 | 番所 | 9円8銭 | 九尺、三間 |
水ノ手高塀 | 5円58銭 | 十四間 | |
杉の丸南北高塀 | 7円58銭 | 十四間 | |
桐の丸練塀 | 6円8銭 | 十四間 | |
木工小屋 | 23円8銭 | 二間半、八間 | |
七間町西蔵庇付 | 78円50銭 | 三間、十二間半 | |
七間町東蔵 | 58円88銭 | ||
修繕局の内 片庇物 | 2円50銭 | 三間半、九尺 | |
修繕局の内 小屋 | 2円33銭3厘 | 三間、七間 | |
本丸番所 | 40円75銭 | ||
武藤 弥助 | 中門内高塀 | 10円8銭 | 十七間、門付 |
榊門北高塀 | 3円81銭8厘 | 九間 | |
小原 伊蔵 | 焔硝蔵 | 39円56銭7厘 | 二間半、四間 |
宮田 忠治 | 大手番所 | 42円5千6厘2毛 | |
小川 市左衛門 | 井戸桁 | 70銭 | |
寺沢 為七 | 修繕小屋東高塀 | 1円 | 六間 |
高塀 | 8円25銭 | 十四間 | |
大手根切松代 | 2円5銭 | ||
青山 松兵衛 | 修繕小屋 | 5円50銭 | 二間、二間 |
石岡 勇次郎 | 松の枝代 | 37銭 |
「犬山財界資料 近江屋宗六編」所収
購入した人 | 購入物 | 金額 | 大きさなど |
---|---|---|---|
堀尾 宗六 | 宗門櫓 | 112円20銭 | 土台石残し |
屏風櫓 | 130円80銭 | 土台石残し | |
本丸多聞 | 185円70銭 | 土台石残し |
犬山市史 史料編6 近代・現代
購入先 | 購入物 | 金額 | 大きさなど |
---|---|---|---|
専修院 | 矢来門 | 20円 | |
徳林寺 | 黒門 | 23円(25円?) | |
常満寺 | 松の丸門 | 73円 | |
運善寺 | 松の丸裏門? | ? |
このように、多くの方が犬山城の門や櫓、塀などの建物を買ったことが分かりました。
その建物の多くはどうなったのかは不明です。
払い下げられた門や櫓の一覧
- 場所ごとに、売られたものを一覧にまとめた
- いろいろな所の門や櫓などが払い下げされていた
上の表は、誰がいくらで買ったのかを知る分にはわかりやすいですが、何が売られたのかについてはわかりにくいので、場所ごとに売られていった建物たちを一覧にまとめてみました。
曲輪 | 売られた建物など | 大きさなど | 料金 |
---|---|---|---|
本丸 | 千貫櫓 | 二間半、三間 | 12円50銭 |
弓矢櫓 | 三間、四間 | 25円 | |
弓矢櫓(御廊下?) | 一丈、五間 | 15円10銭 | |
焔硝蔵(鉄砲櫓?) | 二間半、四間 | 39円56銭7厘 | |
本丸番所 | 40円75銭 | ||
本丸多聞(多門櫓?) | 185円70銭 | ||
杉の丸 | 杉の丸櫓(器械櫓?) | 三間半、三間 | 20円55銭 |
杉の丸西櫓(御成櫓) | 三間、三間 | 25円12銭5厘 | |
杉の丸南北高塀 | 十四間 | 7円58銭 | |
桐の丸 | 桐の丸南高塀 | 十四間半 | 9円35銭 |
桐の丸練塀 | 十四間 | 6円8銭 | |
宗門櫓 | 112円20銭 | ||
樅の丸 | 屏風櫓 | 130円80銭 | |
松の丸 | 松の丸門 | 73円 | |
松の丸裏門 | ? | ||
大手道 | 黒門 | 13円10銭 | |
中門内高塀 | 十七間、門付 | 10円8銭 | |
矢来門 | 20円 | ||
大手番所 | 42円5銭6厘2毛 | ||
三の丸 | 七間町西蔵庇付 | 三間、十二間半 | 78円50銭 |
七間町東蔵 | 58円88銭 | ||
東谷 | 榊門北高塀 | 九間 | 3円81銭8厘 |
水の手櫓 | 二間、三間三尺 | 16円50銭 | |
水の手高塀 | 十四間 | 5円58銭 | |
場所不明 | 木挽小屋 | 二間半、五間 | 17円10銭 |
米蔵庇付 | 二間半、十一間 | 40円10銭 | |
四斗蔵 | 二間、三間 | 13円50銭 | |
五斗蔵 | 二間、八間 | 28円 | |
修繕小屋道具入り土蔵 | 51円50銭 | ||
修繕局の内片庇物 | 三間半、九尺 | 2円50銭 | |
修繕局の内小屋 | 三間、七間 | 2円33銭3厘 | |
修繕小屋東高塀 | 六間 | 1円 | |
修繕小屋 | 二間、二間 | 5円50銭 | |
稗蔵 | 28円 | ||
番所 | 九尺、三間 | 9円8銭 | |
木工小屋 | 二間半、八間 | 23円8銭 | |
井戸桁 | 70銭 | ||
高塀 | 十四間 | 8円25銭 | |
大手根切り松代 | 2円5銭 | ||
松の枝代 | 37銭 |
このように見てみると、いろいろな所の門や櫓などが払い下げされていることがわかりました。
現存している門や櫓
- 記録に残っていたものも残っていなかったものもある
- 現存している門や櫓が一部ある
払い下げの記録に載っていたり、載っていなかったりしますが、門や櫓などが移築されて現存しているもの(推定も含む)があります。
それをまとめてみましょう。
現存している建物 | 移築先 | 現状 |
---|---|---|
矢来門 | 専修院山門(扶桑町) | 扶桑町指定文化財 |
黒門 | 徳林寺山門(大口町) | 大口町指定文化財 |
松の丸門 | 浄蓮寺山門(一宮市) | 一宮市指定文化財 |
松の丸裏門 | 常満寺山門(犬山市) | |
内田門 | 瑞泉寺山門(犬山市) | |
榊門? | 運善寺山門(一宮市) | 一宮市指定文化財 |
宗門櫓 | 森家土蔵(江南市) |
移築された門については、別の記事で紹介していますのでコチラも参考にしてください。
明治になって払い下げられた門や櫓のうちで、今でも残っているものがありました。
これらを大事に残していってほしいですね。
まとめ
- 明治になって城は不要となり、門や櫓が払い下げられた
- 犬山城の門や櫓が払い下げられた記録が一部残っている
- 犬山城の門や櫓で現存しているものもある
明治になって、犬山城の門や櫓が払い下げられた記録をまとめてみました。
その中から見えてきたのは、いろいろなものが払い下げられたということ。
そして、その中の一部が現存しているということです。
これらの現存しているものは犬山城内にはありませんが、各地で大切にされているので今後も大切に保存していってほしいと思います。
ということで、犬山城の門や櫓は明治になって払い下げられたというお話でした。
じゃあね🖐️
2020年02月17日
犬山城マイスター!たかまる。