お城と言えば、何を思い浮かべますか?
そうです天守です。
その中でも最も典型的な形と言われているのが、犬山城天守です。
その理由を三つ挙げて解説します。
犬山城天守が典型的な望楼型と言われる三つの理由
お城と言えば、何を思い浮かべますか?
そうです天守です。
その中でも最も典型的な形と言われているのが、犬山城天守です。
その理由を三つです。
- 形がいたってシンプルであること
- 程よい大きさであること
- 古い時代の現存天守であること
詳しく解説していきます。
形がいたってシンプルである
- 望楼型天守は入母屋造の上に望楼が載った天守
- 望楼型天守の説明イラストと犬山城天守がそっくり
まず一つ目の形がいたってシンプルであることについて。
望楼型天守(ぼうろうがたてんしゅ)というのは、一般的に二階建ての入母屋造(いりもやづくり)の上に望楼が乗った形の天守のことを指します。
【お城の基礎】望楼型天守(ぼうろうがたてんしゅ)と層塔型天守(そうとうがたてんしゅ)
つまりは下の図のような天守のことを言います。
これが望楼型の説明に使われる最もシンプルな図です。
犬山城天守と並べてみます。
下の図を見るとどうでしょうか?
望楼型の説明に使われる天守と、ほぼほぼ形が同じですよね。
この図は筆者が書いたものですが、犬山城天守をそのまま書いたわけではなく、色々なお城の書籍を見てもらうと分かる通り、大体がこのようなイラストになっています。
つまり、犬山城天守が望楼型の最も典型的な形をしているということです。
程よい大きさである
- 天守はどんどんと高層化、大型化していった
- 犬山城天守は三重四階建ての程よい大きさ
二つ目の程よい大きさということについて。
天守は安土城や姫路城、名古屋城、大坂城、江戸城のように、城主の威厳を示すためにどんどんと高層化、大型化していきました。
それに合わせて形が複雑になったり、色々な所に破風(はふ)をつけたりして装飾が華美になっていきました。
一方で犬山城天守は三重四階建てで、それほど大きくもなければ、小さすぎるということもなく程よいサイズです。
恐らく、天守が作り始められた頃はこれぐらいのサイズのものが一般的だったのではないでしょうか?
この程よいサイズ感も典型的な望楼型と言われる理由のひとつです。
古い時代の現存天守である
- 犬山城天守は現存天守
- 最も古いと言われる天守群の一つ
- 当時の様式が残っている
三つ目の古い時代の現存天守であるということについて。
天守が江戸時代以降にまったく残っていなければ、どんなものがあったのかについても様々な議論を呼んだことでしょう。
しかし、松本城や丸岡城と並んで犬山城は最も古いと言われる天守群の一つでもあります。
これが江戸時代の後期に建てられたものだったら、典型的とは言われなかったかもしれません。
天守の建設ラッシュがあった頃に建てられた天守の中で、しかも現代にまで残っているというのはとても大きなポイントです。
残っているからこそ、その当時の建築様式などを今でも体感することができるからです。
これが三つ目の理由です。
犬山城天守はお手本
- 模擬天守のいくつかは犬山城天守にそっくり
- 富山城模擬天守がそっくり
- 館山城模擬天守がそっくり
- 清須城模擬天守がそっくり
ここまでの話で、典型的な望楼型天守の代表が犬山城天守があることが分かったと思います。
さらにそれを裏付けるものがいくつかあります。
それは昭和以降に建てられた模擬天守(もぎてんしゅ)というものです。
模擬天守というのは、史実ではそこに天守があったかどうかがわからなかったり、天守があったかもしれないがどのような天守であったかは分からないというところに、こんな天守があったらいいなぁということで作られたものです。
いわゆる、鉄筋コンクリートなどで建てられた天守風の資料館などのことを言います。
これらのいくつかを見てみると、犬山城が典型的な天守として認識されているということの裏付けが分かるのです。
富山城模擬天守
言葉で説明するよりも見てもらった方が早いですので、写真をご覧ください。
犬山城天守と似ていると思いませんか?
所在地 | 富山県富山市 |
模擬天守築城年 | 1954年 |
構造 | 二重二階(RC造) |
館山城模擬天守
館山城も同様に犬山城天守にとてもよく似ています。
所在地 | 千葉県館山市 |
模擬天守築城年 | 1982年 |
構造 | 三重四階(RC造) |
清須城模擬天守
何と!
犬山城と同じ愛知県にある清須城の模擬天守も犬山城天守にそっくりです。
所在地 | 愛知県清須市 |
模擬天守築城年 | 1989年 |
構造 | 三重四階(RC造) |
お手本ということは
このように様々な模擬天守の形が犬山城天守とそっくりですね。
公式に発表しているところはあまりありませんが、犬山城天守をモデルにしていることは明らかだと思います。
つまり犬山城天守をお手本にしており、それは犬山城天守が典型的な望楼型天守だからだと筆者は考えています。
面白い本があるので紹介します。
別に物売りではありませんが、面白い本があるので是非紹介したいと思います。
それは「日本の城天守閣完全名鑑」です。
現存天守はもちろん、木造で復元した天守、コンクリート造ですが外観を復元した天守、想像で作った模擬天守など、怪しい天守も含めて全国にある天守を一冊の本にまとめたものです。
これを見ていると様々な所に街のシンボルとなるように、天守がたくさん作られていることがよくわかります。
ペラペラめくっているだけでも犬山城天守によく似た形のものが出てきます。
このことからも、犬山城天守が典型的な望楼型天守であるということがよくわかりますね。
この本は、筆者が手に取った時は衝撃を覚えました。
よくここまで取材をして集めたものだなあと感心したのを覚えています。
でも逆に、この天守の全てを巡ってみたいなぁとも思いました。
ペラペラとめくるだけでも楽しい本ですので、興味があったら見てみてください。
下にリンクを貼っておきます。
まとめ
- 形がいたってシンプルであること
- 程よい大きさであること
- 古い時代の現存天守であること
犬山城天守は典型的な望楼型天守と言われています。
その理由は三つありました。
全国の模擬天守などで、犬山城天守がモデルになっているものが多数あることもよくわかりましたね。
犬山城天守に似た天守がどのぐらいあるのか探してみるのも楽しいかもしれませんね。
ということで、犬山城天守が典型的な望楼型と言われる理由を三つ挙げて解説しました。
じゃあね👍
2019年12年05日
犬山城マイスター!たかまる。