天守は単独で建てられることもありましたが、付櫓や小天守などが付属するものがありました。
それらの構成によって、複合式、連結式、連立式、独立式の四つがあります。
これらを順番に見ていきながら、犬山城がどこに当てはまるのかも見てみましょう。
目次 閉じる
天守の構造による分類
天守はその構造によって四つに分類されています。
それぞれ見てみましょう。
複合式
天守に付櫓を直結するように設けたものが複合式です。
この場合、付櫓を天守の入り口とするものがあります。
彦根城天守や松江城天守がこの例です。
連結式
大天守と小天守を渡櫓または橋台で連結した形式が連結式です。
渡櫓で連結させた例としては松本城天守があります。
また現存天守ではないですが、橋台で連結させたものの例として名古屋城天守があります。
連立式
天守と2基以上の小天守や隅櫓を、渡櫓で連結して天守曲輪を構成したのが連立式です。
内側に中庭ができるのが特徴で、最も厳重で、最も複雑な様式です。
代表的な例としては姫路城天守と松山城天守があります。
独立式
天守のみ、独立して建てた形式が独立式です。
最も単純な形ですが、最も古いというわけではありません。
現存している例としては、丸岡城天守や宇和島城天守、丸亀城天守などがあります。
発展の過程
さっきも少し触れましたが、単純な独立式から天守の構成様式が発達したわけではありません。
初期の天守では、入り口とするための櫓や、防御のためのやぐらをつける必要があったため複合式が主流でした。
その後、防御力強化のために、天守も連結式や連立式へと複雑化していきました。
戦国時代が終わって江戸時代の平和な時代になると、軍事的な拠点と言うよりも、政庁やシンボルという意味合いが強くなってきたため、独立式の天守が主流となっていきました。
犬山城天守は複合式
それでは、犬山城天守がどの分類に当てはまるのかを見てみましょう。
天守の形
犬山城天守には付櫓が付いています。
しかも付櫓が二つついているとても特殊な形です。
天守に付櫓がついているのは複合式でしたね。
ということで犬山城天守は複合式です。
典型的な複合式
先ほどの説明であったように通常は付櫓は出入り口をして使われていたようです。
しかし犬山城天守の場合は、付櫓は出入り口としては使われていません。
天守への出入り口は石垣に穴が開いたような形の穴蔵という所にあります。
この穴蔵に入ってくる敵を迎撃するために、穴蔵のすぐ横に付櫓がひとつつけられています。
もう一つの付櫓は、犬山城の背後に当たる方向、しかも国境に面して付けられており、完全に防御と抑止力のためのものと考えられます。
このように、付櫓の防御機能を生かした造りになっていて、他には何もつけていないシンプルな形ですので、典型的な複合式と言っても過言ではありません。
他の現存天守は?
現存12天守はどんなタイプなのかを見てみましょう。
一覧表にまとめたのでこちらをご覧ください。
連結式は松本城天守が唯一です。
しかし、渡櫓が短めだったり付櫓もついた複合式でもあったりするので、シンプルな連結式ではありません。
それよりも小天守や付櫓なども含めた ”天守群” としての姿が印象的ですよね。
連立式は、姫路城天守と松山城天守が現存しています。
そちらも敵を寄せつけない強い意志を感じますね。
複合式は、犬山城天守、彦根城天守、松江城天守、備中松山城天守の4城。
私は犬山城天守が一番シンプルで典型的な複合式だと思っています。
松江城も付櫓が一つ着いただけのシンプルな構造ですが、その大きさが付櫓を思わせない威圧感を与えていて、もはや小天守?というほどです。
単独式は多数あります。
1620年代以降に増えているところからも、時代を反映していることが伺えますね。
まとめ
天守に分類されている四つの形式を見てみました。
複合式、連結式、連立式、独立式の四つです。
分類上は四つですが、それを組み合わせた複雑な形をとっていたりするので、これを参考にどこがどう違うのかなどを巡ってみるのもおもしろかもしれません。
ということで、天守の四つの形式があるよというお話でした。
じゃあね🖐️
2019年06月19日
犬山城マイスター!たかまる。