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【お城の基礎】天守の装飾の代表、懸魚(げぎょ)

お城と言えば天守。天守と言えばシンボル。

ということで、シンボリックな存在であるにはその形=意匠が大切になってきます。

そしてそれを彩るための装飾も欠かせません。

今回は、天守の装飾の代表でもある『懸魚』(げぎょ)について、犬山城の天守で見ていきたいと思います!

懸魚(げぎょ)ってなに?

まず、懸魚(げぎょ)ってなに?って話ですよね。

神社やお寺の屋根の破風 (はふ)に取り付けられる飾りのこと。

懸魚はもともと棟木(むなぎ)や軒の先を隠すためのもので、桁隠し(けたかくし)とも呼ばれています。

六葉(ろくよう)と呼ばれる金属製や木製の栓で取付けられます。

形によって梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)、猪目懸魚(いのめげぎょ)、蕪懸魚(かぶらげぎょ)、三花蕪懸魚(みつばなかぶらげぎょ)などがあります。

当初、魚をつるしたような形だったので、魚を懸けるということで「懸魚」という名になったとか。

天守に使われる懸魚は、梅鉢懸魚、蕪懸魚、三花蕪懸魚があります。

犬山城天守に施されている懸魚

さて、もちろん犬山城天守にも懸魚があります。

それらを場所ごとに見ていきましょう!

大入母屋破風

天守下層の入母屋造りのところが一番大きな破風です。

東面と西面にあります。

大入母屋破風なので、さぞかし派手な懸魚がつけてあるかというと、実は一番シンプルな梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)です。

▲ 大入母屋破風の懸魚は一番シンプルな梅鉢懸魚

最上階の入母屋破風

最上階の屋根は入母屋です。

この破風につけられた懸魚は、蕪懸魚(かぶらげぎょ)です。

こちらもいたってシンプル。でも、このシンプルさが渋さを醸し出しているかも。

▲ 天守最上階の入母屋破風には蕪懸魚が飾られている

付櫓の切妻破風

西北隅と東南隅に付櫓が二つありますが、そのどちらも屋根は切妻屋根です。

その切妻破風につけられている懸魚は、どちらも梅鉢懸魚です。

▲ 東南隅と西北隅の付櫓には梅鉢懸魚

唐破風

南面、北面に唐破風(からはふ)があります。

唐破風につけられる懸魚は横に広がっていて厚さもあり、兎毛通(うのけどおし)と呼ばれています。

犬山城天守の唐破風の懸魚も兎毛通しです。

▲ 唐破風につけられる懸魚は兎毛通し(うのけどおし)と呼ばれる。

天守に飾られる懸魚の種類

懸魚の話をもう少し。

懸魚は火に弱い木造建築を火災から守る意味で、水に縁のある魚をかたどって懸けられた火除けのまじないと考えられています。

鯱瓦(しゃちがわら)や鬼瓦なども同じように火除けや魔除けの意味で取り付けられています。

昔から火災は恐ろしいものと考えられていたことがよくわかりますね。

それでは、天守に用いられている懸魚をご紹介します。

大きくは3種類です。

梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)

梅の花を図形化したもので、五角形または六角形をしています。

小さく簡素なもので、小さな千鳥破風や切妻破風などに取り付けられます。

彦根城天守の切妻破風や入母屋破風は梅鉢懸魚です。

▲ 彦根城天守の破風には梅鉢懸魚がたくさん使われている

蕪懸魚(かぶらげぎょ)

野菜の蕪(かぶ)に似ているのでこの名前が付いたとされます。

胴体が細くくびれていて、渦巻きの形状が特徴です。

▲ 松本城天守の切妻破風にあるのが蕪懸魚

三花蕪懸魚(みつばなかぶらげぎょ)

蕪懸魚の変形で、三個組み合わせて一つの形にしたものです。

入母屋破風や大きな千鳥破風に取り付けられ、両端から鰭(ひれ)と呼ばれる若葉や波をかたどった飾りがついています。

▲ 大坂城天守には三花蕪懸魚が良く似合う

兎毛通(うのけどおし)

唐破風に取り付けられる懸魚は兎毛通しと呼ばれます。

横に広がっていて厚みもあります。

なぜこのような名前になったのかは定かではありませんが、装飾としてはとても美しいものです。

▲ 丸亀城天守の唐破風の兎の毛通し

下手すると見逃がしそうな懸魚ですが、形に注目してみたり比較してみたりすると面白いかもしれませんね。

まとめ

天守につけられる懸魚は何種類かあり、犬山城天守にも蕪懸魚、梅鉢懸魚、兎の毛通しが飾られていたねというお話でした。

じゃあね🖐️

2019年06月15日
犬山城マイスター!たかまる。

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