城跡はたくさん残っていても、江戸時代から現存している天守は12天守しかありません。
しかし私たちはそれ以外にも天守を目にすることができます。
それが外観復元天守(がいかんふくげんてんしゅ)や復興天守(ふっこうてんしゅ)、模擬天守(もぎてんしゅ)と呼ばれるものです。
昭和30年代から40年代にかけて天守の再建ブームがやってきて、たくさん建てられたためです。
今回はこの昭和の天守再建ブームについて見てみましょう。
昭和の城再建ブーム① 外観を復元する
太平洋戦争後からの復興を遂げ、さらに高度成長期にさしかかった時に天守の再建ブームがやってきました。
それが昭和30年代後半から40年代にかけてのことです。
戦後復興から立ち直った日本は経済的にも少し余裕が出てきたころで、戦争で失われてしまった地域のシンボルを取り戻したいということから天守を復元しよう、再建しようという動きが出てきたと考えられます。
ただその時には当時の建築基準などによって木造で高層建築を建てることができなかったため、RC造つまり鉄筋コンクリートで外観を復元するという手法が取られました。
それによって復元再建されたものには、
- 大垣城(おおがきじょう)
- 名古屋城(なごやじょう)
- 岡山城(おかやまじょう)
- 福山城(ふくやまじょう)
- 広島城(ひろしまじょう)
- 熊本城(くまもとじょう)
などがあります。
昭和の城再建ブーム② 現存天守の大修理
昭和の天守再建ブームの頃、同じように現存天守の中でも解体修理などのいわゆる昭和の大修理を行っているものがあります。
- 姫路城(ひめじじょう)
- 犬山城(いぬやまじょう)
これらは当時から国宝ですが、保存のために解体・調査・修理などが大規模に行われていました。
その一方で鉄筋コンクリートで再建された天守は、外観は当時のものにほぼ近いですが内部は現代的な作りで、博物館や資料館として今でも利用されています。
これらは鉄筋コンクリート造であるためにニセモノと言われることもありますが、建造後数十年の時を経て、今では地域のシンボルとして地元の人々に愛されているのです。
昭和の城再建ブーム③ 外観復元天守のこれから
外観復元天守(がいかんふくげんてんしゅ)は、鉄筋コンクリートで再建されてから50年以上経っています。
近年の建築基準法や耐震診断によって、耐震補強をしなければいけない天守が多数あります。
その中で大きな話題を呼んでいるのが名古屋城です。
現在の鉄筋コンクリート造の外観復元天守を解体して木造復元を目指していますが、RC造の天守が文化財的価値があるとか、石垣の調査・保存修理などが必要とも考えられており、今後の動向に注目です。
その他の復元天守についても、これから一つ一つがどうなっていくのかがとても注目されています。
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もちろん、たかまる。は持っていますよ。
一応、リンク貼っておきますね。
【2020年5月23日追記】
史跡などにおいて天守や櫓、門などを復元するときの新基準が決定しました。
令和2年(2020)4月17日、文化庁が発表しました。
国史跡などで歴史的建造物を復元するとき、本来の意匠や構造が十分には分からなくても文化庁の許可を得やすくすると思われます。
これで、新たな復元天守の建築や建て替えなどが進むと期待できます。
詳しくはコチラの記事で。
まとめ
昭和の天守再建ブームで多くの外観復元天守や復興天守、模擬天守が建てられました。
それらは”本物”ではないかもしれませんが、地域のシンボルとして欠かせない存在になってきています。
今後、それらがどのようになっていくのか注目していきましょう。
ということで、昭和の再建ブームについての話でした。
じゃあね🖐️
2019年09月03日
犬山城マイスター!たかまる。